鬼平犯科帳 スペシャル 兇賊 [DVD] |
小さいころに、本放送を飛ばし飛ばし観つつ幼いながら、これ他の時代劇と違うなと感じており、改めて見るきっかけになった作品。鬼平はキャストもさることながら、その背景となる江戸の空気みたいなものを感じることができる素晴らしさがある。若いファンのためにも年一回のスペシャルを体力の続くかぎり作り続けて欲しい。 今作、稔侍さんの足運びの描写がどうしても気になったことと、大杉漣さんにどうも大ボスの貫禄を感じることが出来なかったという点で、★4です |
鬼平犯科帳 第1シリーズ DVD-BOX |
鬼平犯科帳シリーズは全て読んで、私に非常に大きな影響を与えたものです。
思い起こせば初めて読んだのは学生時代の電車の中です。時代劇なんて・・・とバカにしていましたが、1巻読むと止められず一気に読んでしまいました。 それからは自分も将来は鬼平のような人物になろうとすっと思っておりました。 結果は残念ながら・・・です。 鬼平シリーズは私のバイブルとして、困った時や悩んだ時に読み返すことで私自身を勇気付けてくれる大切な小説です。 そんな鬼平のシリーズがこうしてDVDでいつでも見れるわけですから、楽しくてしかたありません。 |
KOKOROZASHI 志 |
久恒啓一氏の編著の「志」。白いカバーにつつまれて清楚な感じを漂わせる書だが、ページをめくれば、なんとすごい気迫とエネルギーが炎となって燃え上がってくる。
久恒氏は5年ほど前から日本全国に散在している人物記念館まわりを始めた。この人も志を立てたら、一念発起のすさまじさというか、すでに250館を回ったという。 人物研究をする人は、一人の人間を深く掘ってゆく人が多いが、久恒氏はまず広く人物記念館をまわって、日本の偉人の探検をおこなった。 その結果いろいろみえてきたものの一部がこの本に結実したといえよう。 収録した人物の発言は全部で130語ほどである。歴史上の著名人もいれば松井秀樹のような若い現役の人も含んでいる。あらゆる階層、あらゆる職業、分野を網羅しているといってよい。「志を立てる」「志を育む」「志を磨く」の3つにわけて、本を組み立てている。 さて、ここにあるのは、偉人や著名人などひとかどの人の口からもれた急所、カタルシスのような言葉である。決して大言壮語ではない。名言というのでもない。思わずもれたというか、自らを律して語ったことばである。まさしく、これを拾いだした久恒啓一の著作だなあと感じたのである。偉人の発言に言い添える形で、久恒さんの解説がつづく。その理解の深さ、味わいがいい。まるで偉人の隣に立って、いいたりないところを補っているかのようだ。 「志を立てる」で偉人たちは声高らかに言う。志というものはあたかも自分に下された天命、神から命じられたものだ。自明きわまるもの、として微塵の迷いもない。 「わだばゴッホになる」(棟方志功) 「私は、この世界に、何かをやりとげるために、生まれてきたのだ」(野口英世) 「志を育む」段階の偉人たちは、もう迷わず、右顧左眄せず、反省せず、一直線である。先はどうなるかなどと案じている気配はない。 「事の成る成らぬは天に任し、自分はひとえに その日その日の務めを全うすれば足る」 (新渡戸稲造) 「最初にそれがとても至難だとおもわれるものを、屈服せずにやり遂げると、それは必ず至難でないものであることが分る」(堂本印象) 「志を磨く」段階の偉人たちは到達した至言をものす。初心を忘れず、動ぜず、反省せず、ぶれない。強烈な自信に支えられて、しかものりをこえない。 「僕は死ぬ迄進歩する積りで居ます」(夏目漱石) 「反省をしなければならない。しかし、改心をしてはいけない」(頭山満) 「自分がやりかけた仕事を一歩づつたゆみなく進んでいくのが、不思議なことだけど、この世の生き甲斐なんです。(いわさきちひろ) 結局、久恒さんがいいたいことは、偉人たちはたゆまず継続してやった。継続させていくものが志である、ということなのだろうと思う。心の疲れた人がいつでもページをめくれるように、静かなトーンの白表紙にしたのは、名編集の賜物だろう。 私自身もピタッと感じてうれしくなった言葉がいくつもあった。 「他人が笑おうが笑うまいが、自分の歌を歌えばいいんだよ」岡本太郎 「私は精神的に弱いので、逆にそれを人にさらけ出して、どうしてもやらざるを得ない状況に自分を追い込んでゆくのである」(植村直己) 「作家にとって大切なのは勉強すること、つまり本を読むことだ」太宰治 へえー あの太宰が・・。 「もう、これしかない。一つの業です」(手塚治)には同感!人生って結局一つのことをやるしかないんだな。 「運動は事務の堆積である」(市川房江) 「やはりもう一度女に生まれて、婦人運動をしなければならないね」市川房江 私は40年もNPO活動をやってきたが、この言葉には参りましたね。NPO活動のちまちまこまこました事務がいやになってきた時、ドーンとこの言葉。しかも、もう一度女にうまれて婦人活動をしなければならぬ、というのですから、青天の霹靂みたいなお言葉です。市川さんは神様ですな! |
男の作法 (新潮文庫) |
やや居丈高なきらいはあるものの、昔ながらの親父さんの説教と言う趣で読むのも悪くない。
日常に役立つ薀蓄や、現代人的心の有り様まで、すべからくずばりと切り込んで行く。 その姿はちょっと微笑ましくもあり、同時に羨ましくもある。 こんな親父になれれば理想かもなとぼんやり思った今日この頃。 滋味に溢れた文章がすっと心に響く快作であると自分は思えた。 追記:日常での着物の着こなし方までフォローしているのはおそれいった。 流石は時代劇小説の大御所である。 |
食卓の情景 (新潮文庫) |
昔の人をうらやましいと思うのはあんまりないのだけれど、自然を満喫することと食生活については、うらやましく思うときがある。
現代のほうが、食べたいときに食べられる。いろんな地域の郷土料理といろんな国の料理を食べられるという決定的なメリットを感じているのだけれど、それでも昔の人の食生活をうらやましいと思うことがある。 旬のものを旬の時期に食べること。 手間暇をかけ多料理をごく普通の価格で食べられること。 素材の味を堪能していること。 これだけのことを今味わうためには、かなりの贅沢だろう。 この「食卓の情景」ではそんな、うらやましい食のことがしごく当たり前の毎日の暮らしの中で登場していく。 うらやましい。 そして池波正太郎は、それがうらやましいこととはちっとも思わず、ごく普通のことだと思っているのだ! それもまたうらやましい。 |